高血圧症は血圧が高すぎる状態で、放置すると脳卒中や心筋梗塞など動脈硬化による恐ろしい病気の原因となったり心臓肥大をおこしたりする病気です。我が国では軽症者も含めると60才以上の高齢者の約半数が高血圧症であると考えられています。

 高血圧の治療は、今お話に出た脳卒中や心筋梗塞および心臓肥大などの高血圧に由来する合併症の予防が目的です。この目的のために血圧をどの程度まで下げたらよいかということについて、世界中の各国で基準がもうけられています。これらを総合的に判断すると、最大血圧が140 mmHg以上あるいは最小血圧が90 mmHg以上の場合には治療が必要と考えられます。ただ、40歳以下の若年者ややはり脳卒中や心筋梗塞の原因になる糖尿病を合併している患者さんではもう少し厳しい基準、つまり最大血圧で130 mmHg以上あるいは最小血圧で85 mmHg以上の場合治療が必要と考えられます。

 60才代、70才代の方でも、やはり血圧が140/90以上であれば治療をし血圧を下げることで脳卒中や心筋梗塞がある程度予防できます。ですから、壮年者とほぼ同じ基準で治療を開始します。ただ、85歳を越える方では、血圧を下げても、必ずしも脳卒中や心筋梗塞を予防できるわけではないようです。